【前回までのあらすじ】
誰もいない事務所でふにゃっと崩れ落ちたオイラ。
119番をかけ、アップルウォッチが鳴り、救急車がやってきた――。
ピーポーの中、オイラ天井を見つめる。あぁ…また来ちゃったかも
近くでピーポーが止まった。
救急車のドアが開いて、バタバタと救急隊員さん達が入ってきた。
隊員さんに声をかけられたけど、
オイラはただ、ふにゃふにゃのまま運ばれた。
「意識ありますかー?」
「大丈夫ですかー?」
頭の中で「いや全然大丈夫じゃないわ!」ってツッコミながらも、
声に出す余裕はなかった。
サイレンの音が、どこか遠くから聞こえてくる。
身体はビクともしない。
でも、頭だけは変に冷静で。
(あぁ…またかもしれん)
(今度こそ本当に終わるんかな…)
そんな考えが浮かんでは消えていった。
搬送される道中は隊員さんに色々質問された。
これと言って喋りづらさはあったが、しっかりと受け答えできていたと思う。
それは病院で救急隊の方が先生と看護師さんに
話しているのが聞こえていたからだ。
病院に着いてからは早かった。
ストレッチャーでガラガラ運ばれて、
次々に検査。
CT、MRI、採血、点滴…
医師や看護師が何人も入れ替わり立ち替わり、
でもオイラはただ天井を見つめてた。
「これ痛い?」
何にも感じないけど、暫くしてから来たような痛みで…
「痛い‼️Σ(°Д°υ)イタ!!」
「つねったからね」
と先生に冷たく言われた!
なんかイラッとさせるやつだ。
なんとなくぼーっとしてきた。
ボヤッと思ってたのは
この天井、
今日初めて見たけど、
きっとしばらく毎日見るんだろうな…って、変に悟ってた。
少し落ち着いてきた頃、
さっきのイラッとさせた先生が言った。
「脳出血ですね。右の被殻(ひかく)からです。左半身に麻痺が出ています」
一瞬、音が消えた気がした。
口では「はい…」って言った気がするけど、
心はざわざわしてた。
(マジか…また…またオイラか…)
でも、なぜか
“もうダメだ”って思わなかったんよね。
1回目は”奇跡”って言われた。
じゃあ2回目は…
“覚悟”ってことか。
いや、前回も大した事なく退院したから一週間もすれば歩けるわ。
「また奇跡的に帰れるわ」って
小さく笑ったのを、先生が見てたかどうかは…知らんけど。
ほんじゃ️
To be continued…
